『遺書』と『遺言書』は、似ていますが、『遺書』には、法的

な効力はありません。

『遺書』は、家族や友人、知人へのメッセージ性がつよく、

遺言書のような、法的な要件が整っていない場合は、遺書に書い

てある内容は、法的には保護されなくなります。

ノートとペン

遺言とは?

遺言(「いごん」または「ゆいごん」)とは、遺言の作成者(遺言者)が、自分の死後の財産や

身分関係を、一定の方式に従って定める、最終の意志表示のことです。

つまり、自分が死んだ時に、「誰に財産を遺す」とか、「相続人から排除したい」とかいった

ことを、死ぬ前に書き遺しておくことです。遺言の方式』は法律で定められているので、

それに違反する遺言は無効になってしまいます。

また、一定の方式を守りさえすれば、遺言は何度でも自由に変更(撤回)することができます。

遺言の目的

遺言の目的とは、「死後の法的効果を認めて、その実現を保証すること」です。

遺言者の死後、遺言の内容どおりに執行できるよう、法的に有効な遺言を残す必要があります。

家庭裁判所で争われる相続の多くは、正式な遺言書がないためだといわれています。

遺産が、相続人の間で争いを引き起こし、不幸の原因になってはなりません。法的に効果のある

正しい書き方で、生前に自分の財産の状況とその分配方法等を定めた遺言を作成するべきです。

遺言は、遺産をめぐるトラブルを防ぐ最善の方法であるとともに、遺産を遺された家族のために

スムーズに相続手続きが執行できるものでもあります。

遺言でできる内容は決まっています。

1)相続に関すること

  ①推定相続人の廃除・廃除の取消し・・・遺言執行者が家庭裁判所に請求します。

 
  ②相続分の指定・指定の委託・・・遺留分の規定に反することはできません。

   反しても無効ではありません。

       
  ③特別受益の持戻しの免除 


  ④遺産分割方法の指定・指定の委託

 
  ⑤遺産分割の一定期間の禁止・・・5年以内に限って遺産分割を禁止できます。


  ⑥共同相続人の担保責任の減免・加重

 
  ⑦遺贈の遺留分侵害額請求権の行使方法の指定・・・兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分

   が認められます。遺留分を侵害する場合、遺留分の権利者は、遺留分侵害額請求権を

   行使できます。ただし、遺贈や贈与が複数ある場合は、まずは遺贈から次に贈与の順序

   で行使することになっています。この請求期間は、相続開始および遺留分を侵害する

   遺贈や贈与があったことを知った日から1年間、相続開始日から10年です。

   それ以上は時効で消滅します。

2)身分に関すること

  ⑧遺言による認知

  ⑨未成年者の後見人の指定

  ⑩後見監督人の指定

  ⑪遺言執行者の指定・指定の委託

  ⑫祖先の祭祀主宰者の指定

3)財産処分に関すること

  ⑬遺贈

  ⑭財団法人設立のための寄付行為

  ⑮信託の設定

  ⑯生命保険金受取人の指定・変更

形式的に有効な遺言でも、「葬儀にはだれだれを呼んでほしい」「みんなと仲良くしてほしい」など

は、法的な効力を持つものではありません。

遺言書の種類

遺言には大きく分けて「普通方式」「特別方式」があります。

「普通方式」はいつでも自由に作成することができます。

「特別方式」は普通方式では間に合わない場合に認められる遺言です。

具体的には「死亡の危急に迫った者の遺言」「在船者の遺言」「船舶遭難者の遺言」

「伝染病隔離者の遺言」があります。

普通方式の遺言は、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つが

あります。


遺言でどこまでできるか?

遺言は遺言者の最終意思です。しかし、法的に形式が整っていても、遺言による財産の処分にも限界

があります。それが、相続人に残された保証、遺留分です。

遺言書の作成するときには、「遺留分」のことも含めて考える必要があります。

遺留分は、遺言でも変えることができない相続人が財産をもらうための最低限の割合のことです。

遺留分は、配偶者、子供、親だけで、兄弟姉妹にはありません。

遺留分を侵害している場合は、侵害を受けた相続人からの請求によって返す必要があります。

(請求がなければ返す必要はありません。)

「愛人に全財産を相続させる」という内容の遺言を作っても、遺留分権利者(配偶者、子供、親)

が その財産のうちそれぞれの遺留分に相当する財産をとりもどすように求めることができます。

これを「遺留分侵害額請求権」の行使といいます。

ただし、遺留分が認められているからといって、何もしなくていいわけではありません。

「遺留分を返してください」という申出が必要です。

この請求は、期限があります。遺留分の侵害を知った日から1年以内かつ相続開始から10年以内

行わなければなりません。

《請求方法》

通常は遺留分を侵害している受遺者や受贈者の全員に対して配達証明付内容証明郵便で請求します。

交渉が困難な場合は、裁判所の調停や訴訟の提起を通じて請求することになります。

請求の順序として、まずは遺贈について行い、それでも不足があれば贈与について行います。

贈与については、一番新しく行われた贈与から行います。

《遺留分は放棄》することもできます。

相続開始前なら家庭裁判所の許可が必要ですが、相続開始後なら自由に放棄できます。

                     遺留分の一覧表
〔相続人に組み合わせ〕    〔遺留分〕        〔各人の遺留分〕     
配偶者と子            1/2       配偶者:1/4  子:1/4
配偶者と直系尊属         1/2       配偶者:1/3  直系尊属:1/6
配偶者と兄弟姉妹         1/2       配偶者:1/2  兄弟姉妹:なし
配偶者だけ            1/2       配偶者:1/2
子だけ              1/2        子:1/2
直系尊属だけ           1/3       直系尊属:1/3
兄弟姉妹だけ           なし       なし
※ 子や直系尊属が複数人いる場合は、その人数で按分します。

《遺留分の具体例》

父の遺言書に「遺産の全額1億円を妻に相続させる。」と記載されているけど、子供が1人いる

場合の子供の遺留分は、以下のとおりです。

子供の遺留分:1億円×1/2(遺留分の割合)×1/2(相続人が二人のため)=2,500万円

ちなみに、相続放棄、相続欠格、相続廃除のいずれについても遺留分も含めて遺産を受け取れません。